「レクサプロ(=エスシタロプラム)って、どんな薬なんだろう?」
「副作用は大丈夫?」
「やめるときはどうしたらいいの?」
──そんな不安や疑問をお持ちの方は少なくありません。
レクサプロ(エスシタロプラム)はうつ病や不安障害の治療によく使われるお薬で、SSRIの中でも比較的副作用が少なく、効果も穏やかに現れる特徴があります。
この記事では、レクサプロの効果や副作用、日常生活での注意点、やめ方までを医師監修のもと、解説します。
安心して向き合うための情報を、一緒に確認していきましょう。
※本記事はファクトチェックを徹底しており、青字下線が引いてある文章は信頼できる医学論文への引用リンクとなっています。
レクサプロ(エスシタロプラム)とは?効果と他のSSRIとの違い
レクサプロ(エスシタロプラム)の基本情報(分類・商品名・開発の経緯)
レクサプロ(商品名:エスシタロプラム、一般名:レクサプロ)は、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」に分類される抗うつ薬です。
日本では2011年に「うつ病・うつ状態」に対する効能で承認され、その後「社会不安障害」にも適応が拡大されました。
レクサプロは、同じくSSRIである「シタロプラム(セレクサ)」の有効成分であるS-エナンチオマーのみを抽出して製剤化された薬です。
シタロプラムはR体とS体の混合物ですが、S体のほうが抗うつ作用に寄与するとされており、副作用リスクを軽減しつつ効果を高める目的で開発されました。
※この記事では「レクサプロ=エスシタロプラム」として、レクサプロに名前を統一して、説明していきます。
作用機序|セロトニンの再取り込みを選択的に抑えるSSRI
レクサプロ¥の作用の中心は、脳内の神経伝達物質「セロトニン(5-HT)」の働きを調整することにあります。
セロトニンは、私たちの感情、意欲、睡眠、食欲などに関係する重要な神経物質です。
SSRIは、脳内で分泌されたセロトニンが神経に再び取り込まれる(再取り込み)働きを阻害することで、神経間にセロトニンを長くとどめ、感情や意欲を安定させる効果が期待されます。

エスシタロプラムは、SSRIの中でも特に高い選択性を持ち、セロトニントランスポーター(SERT)に対して強く作用しながらも、ノルアドレナリン(NA)やドーパミン(DA)など他の神経伝達物質にはほとんど影響を与えません。
このような高い選択性が、不要な副作用を抑えることにつながっていると考えられています。
【神経伝達物質 セロトニンについて詳しく知りたい方はこちら↓】
効果が現れるまでの時間|早くて1週間、実感は2〜4週目から
レクサプロ(エスシタロプラム)は服用してすぐに効果が出る薬ではありません。
一般的に、服薬を始めてから実際に症状の改善を実感できるまでには、2週間から4週間程度の時間が必要とされています。
早い人では1週間ほどで変化を感じることもありますが、多くの場合はもう少し時間がかかります。
この遅れは、セロトニン濃度の変化だけでなく、神経の再適応や脳内ネットワークの調整に時間がかかるためと考えられています。
また、服用初期に軽い副作用(胃のムカつきや眠気など)を感じることもありますが、多くの場合は1~2週間以内に自然と軽減していきます。
ただし、性機能障害などの副作用は長期化するケースもあるため、つらいと感じたときは早めに主治医に相談しましょう。
他のSSRI(パロキセチン・セルトラリン・フルボキサミンなど)との効果の違い
現在日本で使用されているSSRIには、以下のような薬があります。
一般名 | 商品名 | 保険適応 |
---|---|---|
パロキセチン | パキシル | うつ病・うつ状態、パニック障害 強迫性障害、社会不安障害、外傷後ストレス障害 |
セルトラリン | ジェイゾロフト | うつ病・うつ状態、パニック障害、外傷後ストレス障害 |
フルボキサミン | ルボックス/デプロメール | うつ病・うつ状態、強迫性障害、社会不安障害 |
こうした薬剤と比べて、レクサプロ(エスシタロプラム)は「バランスのとれたSSRI」として位置づけられています。
うつ症状だけでなく、不安症状にも幅広く効果を示すこと、そして比較的副作用が少ないことから、初めて抗うつ薬を使う方や、副作用に敏感な方にも選ばれやすい薬です。
とはいえ、肝代謝酵素(CYP2C19やCYP3A4)を介した薬物動態への影響が完全にゼロではないため、他の薬を併用する際には医師に相談することが重要です。
- レクサプロはSSRIに分類される抗うつ薬で、シタロプラムのS体(有効成分)だけを抽出した薬です。
- 脳内セロトニンの再取り込みを選択的に阻害することで、気分や意欲、不安の改善を目指します。
- 効果が出るまでには2〜4週間ほどかかり、副作用が出ることもありますが多くは軽度かつ一時的です。
- 他のSSRIと比較して、副作用が少なめで継続しやすい「バランスのとれた薬」として評価されています。
次章では、レクサプロが実際にどのような疾患に使われているのかを詳しく見ていきます。
うつ病だけでなく、社会不安障害やその他の症状に対する使用についても、わかりやすくご紹介します。
レクサプロ(エスシタロプラム)が効果を発揮する疾患
この章では、レクサプロが実際に効果を発揮する疾患について、保険適用がある疾患と、適応外での使用が行われているケースに分けて解説します。
最新の医学基準と信頼性のある研究データをもとに、安心して治療に向き合える情報をお届けします。
うつ病・うつ状態|気分の落ち込みだけでない多彩な症状 ※保険適用
レクサプロがもっとも広く使われている疾患が「うつ病(大うつ病性障害)」や「うつ状態」です。
うつ病は単なる気分の落ち込みではなく、身体や認知にも影響する多面的な疾患です。
DSM-5-TRでは、大うつ病性障害の診断基準として、以下のような症状のうち5つ以上が2週間以上続くことが求められます。最低1つは ①抑うつ気分または ②興味・喜びの喪失であること:
- 抑うつ気分(悲しみ、空虚感、絶望感)
- 興味・喜びの喪失
- 睡眠の変化(不眠または過眠)
- 食欲や体重の変化
- 疲労感または気力の低下
- 無価値感や罪責感
- 集中困難や決断力の低下
- 精神運動性の焦燥または制止
- 自殺念慮または自傷行為
レクサプロは、セロトニンの再取り込みを選択的に阻害することで、神経伝達のバランスを整え、気分や意欲の回復を助けます。
特に「不安を伴ううつ病」に対する有効性が高いという報告もあり、抗うつ効果と抗不安効果の両面で安定した治療効果が期待できます。
副作用も比較的少ないため、初めて抗うつ薬を使う方にも選ばれやすい薬のひとつです。
うつ病について詳しく知りたい方はこちら↓
社会不安障害(SAD)※保険適用
社交不安障害(SAD)は、「他人にどう見られるか」が極度に気になり、人前での会話や発表などで強い緊張や不安を感じる疾患です。
DSM-5-TRでは「他者から注視・評価を受け得る 1 つ以上の社会的状況(会話・人前での食事・発表など)に対する顕著な恐怖/不安」と定義されています。
レクサプロは2015年にSADへの適応が国内でも承認され、現在は保険適用があります。
国内で行われた長期試験でも、52週間にわたる投与で症状の安定した改善と良好な安全性が確認されています。
全般性不安障害(GAD)|日常生活に支障をきたす過剰な不安 / 保険適用外
全般性不安障害(GAD)は、日常生活におけるさまざまな出来事に対して、過剰で持続的な不安や心配が止められない状態が続く疾患です。
DSM5-TRでは、全般性不安症は「過度の不安と心配(予期的不安)が、 6 か月以上にわたり ほぼ毎日、複数の出来事・活動について生じる。」と定義されています。
不安・心配には次の 6 症状のうち 3 つ以上(小児は 1 つ以上)が、過去 6 か月の大半の日に認められます
- 落ち着きのなさ/緊張感
- 疲労しやすい
- 集中困難/思考停止感
- 易怒性
- 筋緊張
- 睡眠障害(入眠・中途覚醒・熟睡感欠如)
レクサプロは、欧米ではGADに対する適応薬として承認されており、8週間の臨床試験でプラセボに対して有意な改善効果が認められています。
ただし、日本では2025年7月現在、GADに対する保険適用はありません。
診療現場では、保険適用の薬は現時点ではなく、推奨の他の薬剤(例えばパロキセチンやセルトラリン)や、認知行動療法といった心理療法が第一選択とされ、レクサプロは自由診療の範囲で使用されることがあります。
強迫症(OCD) / 保険適用外
OCDは、繰り返し頭に浮かぶ思考(強迫観念)や、それを打ち消すための行動(強迫行為)に苦しむ疾患です。
SSRIは第一選択薬とされており、特にフルボキサミンやパロキセチンが国内では保険適用されています。
エスシタロプラムも、欧州を中心に強迫症に対する効果が確認されており、ランダム化比較試験ではパロキセチンと同程度の有効性が示されています。
欧州の治療ガイドラインでは、OCDに対する選択肢のひとつとして位置づけられており、日本でも適応外で使用されるケースがあります。
月経前不快気分障害(PMDD) / 保険適用外
PMDDは、月経前に怒りっぽさ、気分の落ち込み、イライラ、不安などが顕著にあらわれる疾患で、日常生活に支障をきたすことがあります。
欧米ではSSRIがPMDDに有効であることが確立しており、レクサプロを黄体期(排卵後~月経開始前)に限定して服用することで、感情症状と身体症状の両方を軽減するという研究結果が報告されています。
ただし、PMDDは日本ではまだ十分に認知されておらず、診断・治療体制も整っていないのが現状です。
治療は自由診療になることが多いため、医師と慎重に相談のうえ検討する必要があります。
- レクサプロは、「うつ病・うつ状態」「社会不安障害」に対して日本で保険適用されています。
- 全般性不安障害(GAD)への有効性は確立されていますが、日本では自由診療の範囲で処方されています。
- 強迫症(OCD)やPMDDにも海外エビデンスがあり、医師の裁量で適応外処方されることがあります。
- 適応外使用は、副作用や費用の説明を含めて慎重に判断する必要があります。
ここまでで、レクサプロがどのような疾患に効果を発揮するかをご紹介しました。
しかし実際に服用するにあたっては、「副作用が心配」「太ってしまうのでは?」という不安を感じる方も少なくありません。
次章では、レクサプロを含むSSRIの副作用について、特徴的なものや対処法を解説していきます。
レクサプロ(エスシタロプラム)に副作用はある?他のSSRIとの副作用比較表
レクサプロ(エスシタロプラム)は、副作用が比較的少ないとされるSSRIですが、まったく副作用がないわけではありません。
薬を服用するうえで、「どんな副作用が起こりうるのか」「他の薬と比べて安心なのか」は、多くの方が気になるポイントだと思います。
この章では、SSRI全体に共通する副作用の特徴から、レクサプロに特有の傾向、体重や感情への影響まで、信頼できる研究に基づいてご紹介します。
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)に共通する副作用の特徴
まずはSSRIに分類される薬(パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム、フルボキサミン)には、共通していくつかの副作用があります。
これらの副作用は服薬初期によく見られ、時間とともに軽減するものが多いですが、個人差もあります。
よく見られる副作用
副作用 | 内容 |
---|---|
吐き気 | 食後でも起きることがあり、服用初期に多い |
眠気・倦怠感 | 日中の眠気や集中困難、疲労感など |
性機能障害 | 勃起障害、性欲低下、射精遅延など |
口の渇き | 抗コリン作用による唾液分泌低下 |
頭痛・めまい・便秘 | 比較的軽度で一過性のことが多い |
出現時期と持続傾向
- 吐き気・眠気:服薬開始から1〜2週間で出現しやすく、多くは2〜4週で軽減します。
- 性機能障害:持続しやすく、薬の中止後も回復に時間がかかる場合(PSSD:持続性性機能障害)があります。
個人差と注意点
副作用の出方には個人差があり、体質や年齢、性別、服薬歴などが影響します。
不調を感じた際は「自分だけおかしいのでは」と悩まず、医師に早めに相談することが大切です。
重篤な副作用(全SSRIに共通)
セロトニン症候群(Serotonin Syndrome)
セロトニンを増やす複数の薬剤(例:他のSSRI・SNRI・トラマドール・セントジョーンズワートなど)を併用したときに起こることがあります。
- 発熱、発汗、震え、筋肉のこわばり
- 興奮、錯乱、不穏
- 血圧の変動、頻脈
セロトニン症候群は進行が非常に早く、放置すると生命に関わるリスクもあるため、これらの症状が現れた場合はすぐに医療機関を受診してください。
自殺念慮・衝動性の変化
パロキセチンを含むSSRIでは、24歳以下の若年層において服薬初期に自殺念慮や衝動性が一時的に高まる可能性があることが報告されています。
これは、うつ症状が十分に改善する前に活動性が先に回復するためと考えられています。
国内外の添付文書やFDAもこのリスクに言及しており、特に10〜20代前半では、家族や周囲の人の観察と早めの相談が重要です。
SSRI 副作用比較表(★=強さ・起こりやすさの目安 / 5段階評価)
続いて、SSRIでもよく用いられる3つの薬(パロキセチン、セルトラリン、エスシタロプラム)の副作用の違いについて比較してみました。
副作用項目 | パロキセチン | セルトラリン | レクサプロ (エスシタロプラム) |
---|---|---|---|
吐き気 | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ |
眠気 / 鎮静 | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
性機能障害 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ |
離脱症状 | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ |
体重増加 | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | ★★☆☆☆ |
★記号の読み替え(5段階)
- ★☆☆☆ = 軽度/起こりにくい
- ★★☆☆ = やや軽い
- ★★★☆ = 中等度
- ★★★★ = やや強い
- ★★★★★ = 強い/起こりやすい
※これは複数のメタ解析・添付文書・臨床レビューを総合した “平均的な傾向” となるため、実際の発現頻度・重症度は個人差(年齢・体質・併用薬など)に左右されます。
レクサプロ(エスシタロプラム)の副作用傾向|性機能や眠気への影響は比較的軽め
レクサプロは、SSRIの中でも「セロトニン再取り込み阻害作用」に対する選択性が高く、他の神経系の受容体(ヒスタミンやノルアドレナリン、ドーパミンなど)への作用がほとんどないという特徴があります。
このため、副作用の出方が比較的穏やかであるとされています。臨床研究や観察研究において、以下のような傾向が確認されています。
- 性機能障害の発現頻度は、パロキセチンより明らかに低いとされる
- 眠気・集中力の低下などの中枢神経系副作用も少なめ
太りやすくなるの?|体重増加の可能性と対策
「SSRIを飲んだら太るのでは」と心配される方もいらっしゃるかもしれません。
実際に一部のSSRIでは体重増加が起こることがありますが、薬剤によってリスクは異なります。
レクサプロは、パロキセチンやミルタザピンなどの薬剤に比べると、体重増加の頻度は比較的少ないとされています。
海外の長期試験においても、6か月で約+0.3kg、2年間で+1.5〜2kg程度の平均体重増加が報告されています。
ただし、服薬に伴う体重増加は必ずしも薬の影響だけではありません。
以下のような要因も影響する可能性があります。
- 抑うつ状態の改善により食欲が回復し、過食傾向になる
- 疲労感が続き、活動量が以前より減っている
- 睡眠パターンの変化により代謝が落ちる
体重管理には、過度な制限をせず、日常生活でできる軽い運動やバランスのよい食事、生活リズムの見直しなどが効果的です。
気になるときは、医師や管理栄養士と一緒に相談しながら調整していくのが安心です。
性格が変わるって本当?|感情の平坦化や意欲への影響
「薬を飲んでから性格が変わった気がする」「何も感じなくなった」といった声を聞くことがあります。
これは「感情の平坦化(emotional blunting)」と呼ばれる現象で、SSRI全般で報告される副作用のひとつです。
典型的な症状としては、
- 喜怒哀楽が乏しくなる
- 感動しにくい、泣けなくなる
- 意欲や関心が低下する
- 周囲とのつながりが希薄に感じられる
こうした変化が出る頻度や程度には個人差があり、薬の量が多すぎる場合や、長期間服用していると起こりやすい傾向があります。
一方で、「つらい感情が安定してきた」「生きやすくなった」と感じる方もおり、必ずしも悪いものとは限りません。
ただし、感情の平坦化が生活の質を下げていると感じるときは、薬の減量や他剤への切り替えを検討することもあります。
決して自己判断で変更せず、必ず医師に相談してください。
- SSRIには消化器症状、眠気、性機能障害などの共通副作用があります。
- レクサプロは選択性が高く、他のSSRIと比べて副作用が少なめとされます。
- 離脱症状は出にくい傾向がありますが、完全に出ないわけではありません。
- 長期服用で体重増加が起こることもありますが、平均的には少なめです。
- 感情の平坦化は副作用として報告されており、主治医と相談することで対応可能です。
ここまでで、レクサプロを含むSSRIの副作用や特徴についてお伝えしました。
では、日常生活ではどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか?
次章では、アルコールとの併用や他の薬との飲み合わせ、仕事や運転への影響など、実際の生活での注意点について詳しくご紹介していきます。
日常生活での注意点と飲み合わせリスク
この章では、レクサプロ(エスシタロプラム)とアルコールや他の薬との飲み合わせ、日常生活や仕事への影響について、解説します。
アルコールとの併用は大丈夫?
レクサプロとアルコールの併用については、原則として避けるべきとされています。
これは、どちらも中枢神経に作用するため、併用することで副作用が強まる可能性があるためです。
具体的なリスク
- 眠気やふらつきが増す:転倒や事故のリスクが高まることがあります。
- 判断力や集中力の低下:仕事や日常生活のパフォーマンスに影響する可能性があります。
- 薬の効果が不安定になる:アルコールはセロトニン代謝や肝酵素に影響を与え、薬効を変動させる可能性があります。
一部の方では「少量の飲酒なら問題がなかった」という声もありますが、安全な飲酒量には個人差が大きく、量にかかわらず医師と相談することが原則です。
体質や肝機能、他に飲んでいる薬との関係もあるため、自己判断での飲酒は避けましょう。
他の薬(睡眠薬・漢方・サプリ等)との飲み合わせ
レクサプロ服用中に、他の薬やサプリを併用してよいのか、不安に感じる方も多いと思います。
特に注意したいのは、「中枢神経に作用する薬」や「セロトニン濃度に影響を与える成分」を含むものです。
睡眠薬(特にベンゾジアゼピン系など)
- 眠気や認知機能低下が強まる可能性があります。
- 同時使用する場合は、医師の管理下で用量やタイミングを慎重に調整することが大切です。
漢方薬(抑肝散・加味逍遥散など)
- 一部の漢方薬はセロトニン系や肝代謝酵素に影響を及ぼす可能性があるとされています。
- ただし、相互作用の臨床データは限定的であり、あくまで理論的なリスクです。
- 使用を希望する場合は、必ず事前に医師・薬剤師に相談しましょう。
サプリメント(セントジョーンズワート、トリプトファンなど)
- セントジョーンズワートはSSRIとの併用でセロトニン症候群のリスクがあり、禁忌とされています。
- トリプトファンなどセロトニン前駆体サプリも、過剰摂取によってセロトニン濃度が過剰になる可能性があります。
レクサプロは薬物相互作用が比較的少ない薬とされていますが、他の製品との影響がまったくないわけではありません。
市販薬やサプリメントも含めて、使用前には医師または薬剤師に確認しましょう。
運転や仕事への影響はある?服薬中の注意点まとめ
レクサプロは比較的副作用が少ない薬ですが、服用初期には眠気や注意力の低下を感じる方もいます。
とくに薬に慣れていない最初の1〜2週間は、慎重に様子を見ながら生活することが勧められます。
日常生活で気をつけたいポイント
- 車の運転や機械の操作
→ 初期の眠気やふらつきがある間は控えましょう。副作用が出なければ、安定後の運転は可能なケースもあります。 - 集中力や判断力を要する仕事
→ 重要な判断や責任を伴う業務をされている方は、必要に応じて勤務内容の調整を相談してください。 - 生活リズムと服薬管理
→ レクサプロは1日1回の服用です。できるだけ同じ時間帯に服用することで、効果と副作用の安定につながります。
薬を飲むこと自体がストレスにならないよう、無理のない範囲で生活リズムを整え、疑問や不安があれば主治医に気軽に相談しましょう。
飲み合わせについて不安なときは、医療データベースKEGGを使おう
薬の相互作用は、個人の体質や併用薬、サプリメント、生活習慣などによって影響が変わるため、すべてを網羅的に説明するのはどうしても難しい部分があります。
「これ、大丈夫かな?」と不安を感じたときは、まずは主治医や薬剤師に相談するのが一番ですが、ご自身で調べてみたいという方には、信頼性の高い医薬品情報データベースKEGGの活用もおすすめです。
以下のリンクでは、様々な医薬品情報や相互作用のチェックが可能ですので、ぜひ参考にしてみてください。
- レクサプロとアルコールの併用は、眠気や判断力低下などのリスクがあるため、避けたほうが安全です。
- 他の薬やサプリとの併用では、セントジョーンズワートは厳禁、トリプトファンや一部漢方にも注意が必要です。
- 睡眠薬と併用する場合は、医師の管理下で行う必要があります。
- 服薬初期には眠気や注意力低下が起こることがあり、運転や集中を要する作業は避けましょう。
- レクサプロは1日1回の服用で、生活の中で習慣化すると継続しやすくなります。
ここまでで、レクサプロを日常生活の中で安全に使うための注意点を見てきました。
では、治療が進んできたとき、「薬をやめるときはどうすればいいの?」という疑問が出てくるかもしれません。
最後章では、レクサプロの減薬や断薬の進め方、離脱症状への備え方について、医師と一緒に安全に取り組むためのポイントを詳しくご紹介します。
レクサプロ(エスシタロプラム)の減薬・断薬はどう進める?
レクサプロ(エスシタロプラム)は依存性のある薬ではありませんが、中止する際には注意が必要です。
自己判断で急に服用をやめてしまうと、「離脱症状」と呼ばれる一時的な不調が出ることがあります。
この章では、離脱症状の特徴や、医師と安全に進めるための減薬の方法、自己中止のリスクについて丁寧にご紹介します。
エスシタロプラムの離脱症状とは?
エスシタロプラムを含むSSRIを急に服用を中止すると、このセロトニンのバランスが一時的に乱れ、「SSRI中止後症候群(離脱症状)」と呼ばれる不調が起こることがあります。
主な離脱症状(中止後1〜5日で出やすい傾向)
- めまい、ふらつき
- 頭痛、吐き気
- 「電気が走るような感覚(シャンビリ感)」
- 不安、イライラ、焦燥
- 睡眠障害(不眠や悪夢)
- 気分の落ち込み、情緒の不安定さ
こうした症状は、多くの場合は数日〜2週間程度で自然に軽快しますが、まれに数か月以上続く「遷延性離脱症状」の報告もあり、油断は禁物です。
エスシタロプラムはSSRIの中では比較的離脱症状が出にくいとされていますが、服用期間が長かった方、急に断薬した場合には離脱症状のリスクが高まることが分かっています。
医師と進める減薬のステップとタイミング
レクサプロをやめる際は、主治医と相談しながら「段階的な減薬(漸減)」を行うのが原則です。
個人差が大きいため、減薬方法やペースは症状の安定性やこれまでの服用状況によって調整されます。
一般的な減薬のステップ(例)
- 症状が安定しているか確認(寛解が6か月以上続いているのが望ましい)
- 服薬量を少しずつ減らす(例:10mg → 5mg → 隔日服用など)
- 各ステップで1〜2週間ほど様子をみる
- 体調や精神状態に変化があれば医師と相談しながら調整
急がず、数週間〜数か月かけて慎重に進めることで、離脱症状や再発のリスクを抑えることができます。
減薬に適したタイミングとは?
- 気分の波や不安感がしばらく落ち着いている
- 睡眠や食欲、集中力が安定している
- 大きなストレスやライフイベント(転職・引っ越しなど)がない時期
また、減薬中は日記やアプリなどで体調を記録しておくと、早めの変化に気づきやすく、医師との相談にも役立ちます。
自己判断での断薬はなぜ危険?
症状が安定すると、「もう薬は必要ないかも」と思うことがあります。しかし、自己判断で薬を急にやめることは非常にリスクが高く、推奨されません。
自己中止の主なリスク
- 離脱症状が強く出る可能性
- うつ病や不安障害の再発・再燃
- 情緒の不安定さや社会生活への支障
離脱症状と再発症状は非常に似ているため、患者さん自身では判断が難しいケースがほとんどです。
中止後に気分が落ち込んでも、「またうつがぶり返したのか」「断薬が原因なのか」を正確に見極めるには、専門的な知識が必要です。
だからこそ、薬の終了判断は必ず医師と相談しながら行いましょう
症状が落ち着いたあと、安全に服薬を終えるためには「慎重すぎるくらいがちょうど良い」という意識が大切です。
- エスシタロプラムを急にやめると、離脱症状(頭痛・不眠・情緒不安定など)が出ることがあります。
- 多くは1〜2週間で軽快しますが、まれに長引くこともあるため油断は禁物です。
- 減薬は必ず医師の指導のもと、数週間〜数か月かけて段階的に行います。
- 自己判断での中止は再発や強い離脱症状の原因になるため危険です。
- 減薬・断薬の時期は、症状の安定とライフイベントの有無をふまえて慎重に判断しましょう。
まとめ|安心してレクサプロ(エスシタロプラム)と向き合うために
レクサプロ(エスシタロプラム)は、うつ病や不安障害などに対して有効性の高いSSRIであり、副作用の少なさや減薬のしやすさから、多くの方に選ばれています。
服薬を始めるときはもちろん、日常生活や将来の減薬・断薬を考えるうえでも、不安や疑問が出てくるのは自然なことです。
大切なのは、自分の状態や薬の働きを正しく理解し、主治医としっかり連携を取りながら進めること。
この薬があなたの回復をサポートする心強い味方となるよう、この記事の情報が少しでもお役に立てば幸いです。
- レクサプロはSSRIの一種で、うつ病・全般性不安障害などに効果があります。
- 効果の実感には2〜4週間ほどかかることが一般的です。
- 副作用は消化器症状や眠気などが中心ですが、比較的軽めとされています。
- 他の薬やアルコールとの併用には注意が必要です。
- 減薬・断薬は医師の指導のもと、段階的に進めましょう。
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